給食厨房の特徴の一つとして、「忙しい時間とヒマな時間の差が激しい」ということがあります。なぜそんなことが起こるのでしょう?

今やらなければならないのか?

大きな作業は分ける

作業の準備、というプロセスはどんな仕事にもあります。作業に取り掛かる=準備から始めてそのまま作業に取り組む、という仕事をしている厨房が多いと思います。分かりやすいから、でしょう。

調理は野菜の下茹で、から入る場合が多いのですが、下ごしらえを前日にすることが出来れば、提供当日の作業は激減します。また、下ごしらえは調理ができない経験の浅い人でも行うことができるでしょう。

このように大きな仕事は、段階を分けて、余裕のある時間帯に移動させることで、全体的な作業ボリュームを均一に近づけることができます。

同じ場所でするもの小さな雑用はまとめる

数分で済むようなことを、あちらこちらで放置している現場を見たことがあります。理由を聞くと、「やる人が決まっているから」ということでした。
その場、その時に手が空いている人がいるのに、必要なことをやらない、ということです。ムダに細切れに、雑用を分け時間をムダにしていることは、どの現場にもあることです。が、それが日常であるため、疑問に思うことができません。つまらない雑用をイチイチ誰がやるのか決めている現場は「みんな平等に」などと言っています。実現すべきは、その場その一瞬の視野の狭い平等ではなく、一日全体、従業員全体として作業が偏っていない状態です。

誰がやるのか?

年齢層の高い給食業界では、AさんBさんは調理係、CさんDさんEさんは盛り付けのように、作業ごとに担当者を決めている方法です。もちろん作業そのものに「序列」が存在し、たいてい調理担当者が「一番エラい」という雰囲気です。当然、新人は洗い物です。

このように「人」に「仕事」を付ける、というやり方をしている厨房は、手の空いている人が複数いたり、1名でできる作業を2名でやっていたりと、決まって流れが悪いです。給食厨房は職人を育てる場ではありません。このような職場では「属人化」が横行し、それによる様々な問題によって定着率が低くなり、求人のクチコミに本音を書かれたりします。

では「仕事」に「人」を付ける、ではどうでしょう。時間帯、作業量などを考慮して計画的に組み立てた「ルーティンワーク」を人数分用意し、その「ルーティン」に人を割り振っていくのです。多くの現場はこのつもりで業務を組み立てていることでしょう。問題はその内容です。

この「ルーティン化」は「誰に代わってもできる」ことを目指して行わなければなりません。各作業を簡素化し、「組織全体の目的に直結した業務」に集中させることに意義があるからです。

ですが実際は、ベテランのわがままが大いに反映されていたり、各ルーティンの作業量がバラバラだったり、計画性も合理性も乏しい場合が少なくありません。客観的な視点で見ることが困難なので仕方ないのですが、出来上がった内容はぐちゃぐちゃです。もちろん、現場内で適切に修正することは不可能です。

私たちは、このルーティンワークの作成に多くの時間をかけます。必要か、やりやすいか、ムリはないか、全体に支障はないか、を主眼において計画を立てるからです。この計画を綿密に行うほど、スタッフは仕事がしやすくなっていきます。