適切な作業時間とは?
その前に「適切でない作業時間(所要時間)」とは、どういうことでしょうか?
費用対効果が低い ということですね。
その仕事は、そんなに時間をかける価値があるか?という視点です。ここにいう「価値」は給食厨房では数字で明確に示すことができません。が、誰もが感覚で分かるものです。
時間がかかる作業は・・・?
給食厨房内で時間と人数が必要な仕事は、大まかに決まっています。
①調理・盛り付け
②食器洗浄
③下処理(仕込み)
たいてい、この3つの内のどれか、です。
順番に見ていきましょう。
①調理時間を減らす
例えば200人分のコロッケを原材料から作るすると、何が起こるでしょう。
給食である以上「提供時刻」というタイムリミットがあるので、時間を使えない代わりに、膨大な労力と人件費を投下することになります。それらを費やして出来上がった成果物は・・・・
そう、「ごく普通のコロッケ」ですね。割に合わない、という感覚は理解できると思います。
「手作りの方が美味しい」などということをドヤ顔で言う栄養士や調理師が今でもいます。本当でしょうか?
定番のお惣菜「煮豆」で考えてみましょう。
給食は毎日献立が変わりますね。ということは1か月に1、2回しか煮豆を作る機会はないわけです。数名の調理員がいるなら、1名が経験する回数は年に数回程度です。一方、売っている惣菜の会社はどうでしょう。彼らは「どんな味が美味しく感じるか」を科学的に研究して味を決め、工場での調理スタッフはそれを毎日作っている「煮豆のプロ」です。どちらが安全に安定して美味しいもの作れるかは明白です。
「全部原材料から手作りです!」
これを自慢する施設は未だにありますが「1から手作り=美味しい」は現代では幻想です。なんでも完全調理品にするのは現実的ではないにせよ「手作り」にこだわりすぎるのは不合理で不衛生です。「手作りしか食べない」という利用者が現実にどれほどいるのかは調査できないはずですので、栄養士や経営者の「思い込み」や「自己満足」からムダを生み出していることになります。
上記は調理作業を例に挙げましたが、費用対効果の低い仕事は周辺作業にもゴロゴロあります。
大切な視点は、この労力から得られる成果は何か?
というものです。
②食器洗浄は何人でやるか?
ズバリ、200食であれば、基本は3名が適正です。前後の作業内容によって違ってきますが、いくら多くても4名でしょう。それ以上の人員を投入している現場は、目に見えない別の問題がある可能性があります。
考え方としては、洗浄作業は「後片付け」に属する作業です。つまり、何も生み出さない時間です。1000食クラスの大規模な厨房になると、洗浄作業だけを請け負う業者が入っていたりするほどです。これ自体は自社で行う意義が乏しい作業なのです。
施設内の給食厨房では洗浄委託するわけにもいきませんから、1分でも早く終わらせる仕組みを作らなけれなければ、いつまでも業務は減りません。
③下処理の考え方
下処理、とは飲食店でいう「仕込み作業」です。給食厨房では野菜の洗浄、計量、仕分け、切り付けなどを行います。
下処理に3、4人もスタッフがいる現場を見かけました。
キッチリしたキレイな下処理をするため・・・だそうです。
下処理は給食の調理をスムーズにする「手段」であり、下処理そのものは「目的」ではありません。現実に、どんなに完璧な下処理や計量をしても、利用者は誰も喜びません。
結論として、下処理に人件費も時間も労力も費やすべきではありませんので、予算や献立内容の許す限り削減して、後から修正を行います。
生野菜の使用をゼロにすることは困難でしょう。ですが、冷凍野菜を使うべき箇所はキッチリ使う。費用対効果を考慮して、献立作成の段階から見直すことが重要です。
時間のかかる献立
調理に時間がかかる、というと調理スタッフの能力が低いのでは?と考えますね?
実は、違います。
給食調理では、時間のかかっている献立というのは、おおまかに決まっています。
- 工数が多い
- 長時間加熱が必要
- 盛り付けに手間がかかる
これらに共通していることは
そもそも大量調理に向いていない ということ。
これは、献立作成者が真剣に向き合わなければならない問題です。
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作業工程表を見つめる
Step2で生まれた空白やスキマに、入り切らなかったブロックは、作業時間を見直すことで入るようになることが分かりました。
現状のままで置いておくブロックも時間短縮できないか?を考えます。が、すでに最短の方法でやっている、という場合はどうすれば良いのでしょう?
答えは、
その作業の一部、または全部を他の時間帯に移動させる。
です。
そして、これが次のStep4「作業タイミングの適正化」という話です。